小雨にけぶる錦帯橋を、テレビで見た。
思い出したのは 深いあかねいろの表紙、黒い台紙のアルバムにとめた一枚の写真。
明るい日差し、錦帯橋の前。
帽子に麻のスーツの ちょっと眠たげな父。大柄の単衣に白い日傘を持つ母。
昭和6年、新婚旅行(?) 26歳と20歳のモノクロの二人。
きっと いまごろの季節だったのね。
荷物が 見当たらない。 橋のちかくに宿をとり、散歩の途中?
写真やさんにつかまって、すこしテレている二人。
あのあとどちらへいったのか。 聞いておけば、よかったなあ。
あ、 娘よごめん。30年ほど前にあなたといきました。 錦帯橋。